2013年1月13日日曜日

Level Set 法 3次元への適用

in English

はじめに

以前こちらでLevel Set法を紹介しました。今回これを3次元に拡張したのであらためて紹介します。
(プログラムにバグがありましたので以下の文章を書き直しました。この修正により、計算速度が大幅に改善されました。2013年1月20日)

デモ

こんな感じです。
デモ1:

2つの球体をその内部に持つように立方体(初期波面)を配置します。Level Set法を実行すると、立方体が徐々に縮まり、2つの球面に分裂する様子を見ることが出来ます(画面キャプチャなし視点変更なしなら、70秒ほどで計算を終えます)。
デモ2:

立方体(初期波面)を2つの球体の外に置いた場合です。立方体は球体を呑み込みながら成長していき、ワイヤフレームで示した大きな球面に衝突して止まります。言い換えると、小さな立方体は2つの球面を内部に含む大きな球面に成長します(画面キャプチャなし視点変更なしなら、120秒ほどで計算を終えます)。

どちらのデモも空間の大きさは200x200x200pixlesです。描画にはOpenGLを使いました。

開発環境

  1. Mac OS X 10.8.2
  2. プロセッサ:3.06 GHz Intel Core 2 Duo
  3. メモリ:4GB
  4. Xcode4.5.2 with Apple LLVM 4.1(C++ Language Dialect → C++11, C++ Standard Library → libc++)
  5. boost-1.51.0(上記コンパイラでコンパイルしたもの。こちら
  6. opencv-2.4.3(上記コンパイラでコンパイルしたもの。こちら
注意:lambda式やthreadなど、C++11の新しい機能を使用しています。

ソース

こちらです。上記の開発環境で動作確認しました。

実行方法

実行ファイ名は、LevelSetMethod2です。引数なしで実行すると以下を出力します。 各引数の意味は以下の通りです。
  1. dim:次元です。2か3を指定します。
  2. verbose:途中経過を出力したいときに指定します。
  3. input: 2次元のとき入力ファイルへのパスを、3次元のとき"pattern0"か"pattern1"を渡します。3次元の場合はプログラム内で既定の立体を作成します。任意の立体を与えられるようにする予定です(こちらへ)。
  4. wband: Narrow Band Level Set法を採用しています。波面(境界面)の計算領域の幅を設定します(後述)。
  5. wreset: Level Set法の精度を高めるため、ある計算ステップごとに波面の初期化を行います。その引き金となる領域の幅を設定します(後述)。
  6. time_step: Level Set法では波面を時間発展させます。その時間幅を設定します。
  7. gain: 波面の速度は定数項と波面の曲率に依存する項から成ります。後者の割合です(後述)。
  8. constant_speed: 波面速度の定数項です(後述)。
  9. speed_threshold: この速度以下の場合、波面速度を0とみなします。
  10. left, right, top, bottom, front, back: 最初に与える立方体のサイズを指定します。frontとbackは3次元の場合に使います。
以下の図はwbandwresetを示したものです。
wbandのうち緑で示した領域の幅がwresetです。波面が緑の領域に到達すると、波面の再初期化が実行されます。 本アプリで使用している速度関数 は以下で定義されます。

ここで、 は曲率です。constant_speed に相当します。閉曲面を内側に向かって収縮させるなら負の値を、その逆なら正の値を設定します。また、gain に相当します。この項は曲面を滑らかにする効果を持ちます。

①3次元の場合:
以下のコマンドを実行します。最初に示したデモ1が始まります。 ここでキーボードから以下の操作が可能です。
  1. ESC: 終了します。
  2. p: 一時停止します。
  3. f: 波面(front)の描画を有効・無効にします。
  4. o: 物体(object)の描画を有効・無効にします。
  5. <: 視点を物体に近づけます。
  6. >: 視点を物体から遠ざけます。
  7. u: x軸周りに回転します(右ねじ)。
  8. n: x軸周りに逆回転します。
  9. h: y軸周りに回転します(右ねじ)。
  10. j: y軸周りに逆回転します。
引数に--verboseを指定したので、コマンドライン上に波面(front)を構成するピクセルに関する量が表示されます。 その意味は以下の通りです。
  1. zero speed rate: 成長速度が0となったピクセルの割合。1のとき波面の成長は完全に停止します。
  2. front size: 全ピクセル数。
  3. total speed: ピクセルの成長速度の絶対値の和。
本アプリは、total speedが3回連続して同じ値になると終了します。

②2次元の場合:
以下のコマンドを実行します。 引数に--verboseを指定しない場合、波面に関する上記3つの量は表示されません。 なお、入力画像は1チャンネルのグレー画像でなければなりません。こんな感じになります( 画面キャプチャなしなら0.8秒程で計算を終えます)。画像サイズは256x256pixelsです。(追記:こちらに2次元のデモを追加しました。)

ここで、キーボードから以下の操作が可能です。
  1. ESC: 終了します。
  2. p: 一時停止します。
  3. f: 波面(front)の描画を有効・無効にします。
  4. o: 物体(object)の描画を有効・無効にします。

ソース概説

main関数は以下の通りです。
//main.cpp クラスCommandLineInterfaceには以下2つのstatic関数が定義されています。
  1. execute_level_set_method_in_2d
  2. execute_level_set_method_in_3d
例えばexecute_level_set_method_in_3dではクラスLevelSetMethodViewer3dを呼び出しています。
//CommandLineInterface.cpp 9行目でクラスLevelSetMethodViewer3dのインスタンスを作成し、そのあと、viewerの初期化(19行目のinitialize_viewer)とLevel Set法の初期化(20行目のinitialize_level_set_method)を行っています。後者の関数の中身は以下の通りです。
// LevelSetMethodViewer.h 13行目にあるクラスLevelSetMethod<Dimension>がLevel Set法を実行します。これはテンプレートクラスです。
// LevelSetMethod.h テンプレート引数Dには次元を表現するクラスを与えます。
// DimensionTypes.h

参考文献

  1. コンピュータビジョン 最先端ガイド1, 第1章
  2. Fast Level Set Methodの提案とビデオ画像の移動物体のリアルタイム追跡, 情報処理学会論文誌, Vol.44, No.8, Aug, 2003
  3. Fast Level Set Methodを用いた複数移動物体の三次元追跡, 日本ロボット学会誌, Vol.23, No.7, pp.813-820, 2005
  4. Level Set Methods and Fast Marching Methods, J.A.Sethian, Cambridge University Press, ISBN 0-521-64557-3

追記

こちらにも2Dへの適用例を掲載しました。

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